籠の鳥

籠の鳥
小鳥に自由を与えた
籠の中に入れて
啼き方を覚えさせ
餌づけをし
ラム酒を少し入れた水で
毎日可愛がっていたのだけれど
小鳥に自由を与えた
小鳥はいつも
「あなたのモノよ」
と、さえずるけれど
それは本当の事なのか
小鳥に自由を与えた
愛でるだけ、かわいがるだけでは
僕の疑惑は首をもたげる
だから小鳥に自由を与えた
かれこれ三日は帰ってこない
今頃小鳥は仲間を見つけて
違う喜びを知ったはず
僕の苦悩とひきかえに
小鳥は夢見心地でさえずるはず
「こんな世界があったのか」
「こんな自由があったのか」と
〜自由になった小鳥はきっと帰ることはないよ〜
悪魔のような囁きが頭の中でリフレインする
僕は知りたかったんだ
僕は確かめたかったんだ
小鳥はずっと僕の傍でさえずる事が
本当の幸福であるのだと
僕は小鳥が去った籠の中
「あなたのモノよ」
という残声を胸に抱いたまま
籠(きみ)の中で囚われの身

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