青春

青春
壊れ物
取り扱い注意。
時に黒く
時に青く
時に激しく
時に弱く
私は楽譜に脅えるモーツァルトであり
私は無礼な孫悟空であった
私は食に群がるハイエナであり
私は独りさ迷う野良猫であった
そして 絶えず
夢と街の区切りを
転がり続ける病葉であった
黒い雲間から
雨が何度も窓を叩き
優しい風が
ドアを開けようとしても
頑なに拒み続けた
ポキリ、と
風雨に耐えきれず
窓辺の梢が折れる音を聞く頃
いつの間にか
考えるだけの葦になっていた私は
河辺に青白く灯る
ほたるのひかりに
今年も 堪えきれず
涙を流す
忘れ物
取り扱い注意。

tukiyomi について

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