生きた亡者

コトバだけで世界をつないでいく、そんな嘘くさい指切りをして
あなたの色つきの夢の先に、私はいない。
コトバだけで生きる人は 骨の分量の重さを 世界と言い、
あなたは、夕陽を溺れさせる、空と海の狭間を歩きたがるし、
コトバは世界を酔わせ、世界を沈める、という、駆け引きを持つ。
あの赤さくらい、あの大きさくらい、背中の影が濃く伸びていたら、
コトバをを焼き尽くした、あなたの、
ノドボトケを、私にくれますか?
本当のことは、夕陽のように燃やされて消えてしまう、
あなたも、わたしも。
言えないコト、を埋没させることだけが得意になりました、
「世界には骨が似合う、」
と、いう、コトバを遺して。
詩人は墓を遺さない、墓というコトバを埋めていく。
詩人は世界を多く持つ、全部海に還すことも知って。
理屈だけが、まだ寄せて返して、浜に投げ出されている。

コトバはかき混ぜられた、シロップ、もう、透明ではない。
濁ったシナリオだけを、書き上げたノートの、かなしみ。
はじめは白かったものに、テーマを与えたら、「汚れた」、と
世界は嗤って、そして、つぶやいた。
私たちは、生きた亡者。
汚れたノートを海で洗濯して、溺れてしまう者、
私たちの撒いた骨はノートと世界を漂白する/漂泊する。
   (指切りは、裏切られる/寄せて返す、打ち寄せる、熱の波音。)
混濁した物語の果てに、手を振る最期の人よ、
私に、灯った、あなたの、声と炎、に、
どうか/憎しみのように消えない/名前を。
                          /、の、/愛する/「世界」に。

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