東京

乳の出なくなった母豚が 
子豚を育ててくれるという、 
やさしいニンゲンに預けた
彼らは 何もできない痩せた子豚を
段ボールの中で育てた
しかし 相変わらず豚は、豚
ただ 闇雲に食べるしか能がない、豚
段ボールが破裂しても 
豚はまだまだ食べ続けた
ニンゲンは 予定通り
豚を殺して何日もかけて食べた
乳の出なくなった母豚は 
子豚が闘牛になるような夢を描きながら
暗い 豚小屋に横たわり 
豆電球の明かりのような 希望を灯した
   

tukiyomi について

著作権は為平澪に帰属しています。 無断転写等、お断ります。
カテゴリー: 02_詩 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です