禁色

禁色
禁色
白いあなたを
私が神仏の前で堕落せたのだ
私の中に潜む
楽園を追い出された
蛇が
あなたを絞り上げた
零れたあなたの
白い羽の残骸が
私の身体を汚すように浄める
あなたに授けた
獣が片時も
業火の中で
吼える
あの時
強引に
塞いだのは
まっすぐに泣く
あなたの
「愛しています」
きっと
それを聴くと
私は泣いてしまう
自分が
女であると気づいてしまう
あなたを
飼い殺しにして
置き去りにする
自分に
あぁ、
雷がなる
神鳴りが聞こえる
二人の声を燃やすように
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バイバイ。人差し指

バイバイ。人差し指

怖いんです
すべての人の手にある
人差し指
怖くて怖くて堪らない
私に与えられた
時計の針を
時計回りに
人差し指でぐるぐる回す
すると
人差し指が私の胸を刺す
人差し指が私に向けられ
笑い出す
怖いんです
人差し指
生きていくのに
邪魔な人差し指
今日
切り落としました
誰も笑わなくなった
四本の指の世界に
くるまって
今度目覚めるとき
時計は
止まったまま
朝を告げない
バイバイ
人差し指の悪夢
おやすみ

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夜に落ちる

夜に落ちる
朝日が
沈んでくれないかな
と 思う日に限って
夜に落ちる
たとえば
昨日の誕生日ケーキの
蝋燭の火を
誰かに明け渡すような
老木の哀しみを
新木に知らしめるような
リレー始まっている

私が脱皮したぬけがらを

自分で見なければならない
朝日の角度は鋭角で
目眩をおこす
歪な風に吹かれながら
とぼとぼと
蛻の殻になって
捻れながら歩む私の道のりの
背後からは
夜がしたり顔
朝日が沈んでくれないかな

言わんばかりに

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【再生/呼吸をするように】

【再生/呼吸をするように】
天と地の狭間で
射し込む光と
砂塵に帰す闇
光は高らかに産声を
あげて号令をかけ
闇は忘却の能力に支配されて
いつしか大地に身を任す
森は沈黙を守りながら
命の営みを呼吸し
ただひとつの例外もなく
目覚める者と
眠りにつく者を
代わる代わる
再生させてゆく
まるで
地球がひとつ
宇宙に
提案したかのように

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抹茶とプリン

抹茶とプリン
抹茶とプリン
少し渋めだけど
憎めない甘さで
ふるえつづける
プリンを
少しずつ優しい
新緑の言葉で
染め上げるから
私たち
ちょいどいい
柔らかさにくるまれて
午後のスプーンに
救われてしまう
温かい眼差しに
溶け出した汗は
滑り出した恋の味わい
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恋人へ

恋人へ
恋人と呼んだ響きが悲しくてアドレスを消す泣くな親指
春めいた今より過去がせつなくて胸には虚空 瞳になみだ
君の名を真夜中に探す淋しさにくるまりながら泣いてしまおう
好きだった二人ぼっちの春の日々独白ばかり空に帰す夜

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自然流通

自然流通
自然流通
深淵なる夜の
向こう側の空に
数多の風と雲を
数え上げ
ただ流れゆくまま
生きてゆく
在りし日の
あるがままに
あるがままの
自分のかたちで

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密会

密会
エイプリルフールが記念日
月夜に時雨に濡れたい
酸素の足りない発情期
薄目をあけたら唇に嘘
伝言板は暗号で挨拶
ご主人様は入退院
傷が疼く 脚を伸ばす
東京と京都との距離をSkype
情欲儀式は忍耐でkeep
沈黙は薔薇一本で饒舌
ボディレンタルの利用
イラつきの帝国は崩壊
了解。

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読み終えたら
いつか棄てられる本
例えば
本棚の片隅で埃にまみれて
タイトルが消えてたり
例えば
字の樹海に押し込められたまま
迷子になって泣き続けていたり
ましてや
ビニールテープで
ぐるぐる巻きに固められて
あの世に運ばれたり
そんな簡単なピリオドを
待ってたわけじゃない
もの言わぬあなたの
愛蔵書(こんせき)を旅するのが好き
一番好きなフレーズに
抱かれて眠るのが幸せ
あなたが もう
そのページを開くことが
叶わなくても
大切にしている行間に
私を挟んでくれたなら
文字の森の隙間から
一番星を見つけだし
薄い私を照らし出す
光に抱かれて眠りたい
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sugar

sugar
甘い声で囁いて
あなたは私を溶かすつもりね
銀のスプーンで愛憎喜劇をかき混ぜて
コップの底に残っているのは
あなたの寛容すぎる真心だけ
あなたが飲み干してくれたのは
先走る私を
零れないように
癒してくれる
薄いくちづけ
午後三時の
マグカップの中にはレモンティー
ちょぴり酸っぱい世間から
すくい上げてくれたのは
いつだって
喉に染み付く甘さとゆとり
柔らかな日差し
指先二本の恋に
掻き回されて
私は素直に溶けてゆくけれど
いつかあなたが
疲れたときには
甘やかして笑わせて
眠らせてあげれる
私になると誓うわ
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