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バイバイ。人差し指
バイバイ。人差し指
怖いんです
すべての人の手にある
人差し指
怖くて怖くて堪らない
私に与えられた
時計の針を
時計回りに
人差し指でぐるぐる回す
すると
人差し指が私の胸を刺す
人差し指が私に向けられ
笑い出す
怖いんです
人差し指
生きていくのに
邪魔な人差し指
今日
切り落としました
誰も笑わなくなった
四本の指の世界に
くるまって
今度目覚めるとき
時計は
止まったまま
朝を告げない
バイバイ
人差し指の悪夢
おやすみ
私
夜に落ちる
夜に落ちる
朝日が
沈んでくれないかな
と 思う日に限って
夜に落ちる
たとえば
昨日の誕生日ケーキの
蝋燭の火を
誰かに明け渡すような
老木の哀しみを
新木に知らしめるような
リレー始まっている
夜
私が脱皮したぬけがらを
朝
自分で見なければならない
朝日の角度は鋭角で
目眩をおこす
歪な風に吹かれながら
とぼとぼと
蛻の殻になって
捻れながら歩む私の道のりの
背後からは
夜がしたり顔
朝日が沈んでくれないかな
と
言わんばかりに
【再生/呼吸をするように】
【再生/呼吸をするように】
天と地の狭間で
射し込む光と
砂塵に帰す闇
光は高らかに産声を
あげて号令をかけ
闇は忘却の能力に支配されて
いつしか大地に身を任す
森は沈黙を守りながら
命の営みを呼吸し
ただひとつの例外もなく
目覚める者と
眠りにつく者を
代わる代わる
再生させてゆく
まるで
地球がひとつ
宇宙に
提案したかのように
恋人へ
恋人へ
恋人と呼んだ響きが悲しくてアドレスを消す泣くな親指
春めいた今より過去がせつなくて胸には虚空 瞳になみだ
君の名を真夜中に探す淋しさにくるまりながら泣いてしまおう
好きだった二人ぼっちの春の日々独白ばかり空に帰す夜
密会
密会
エイプリルフールが記念日
月夜に時雨に濡れたい
酸素の足りない発情期
薄目をあけたら唇に嘘
伝言板は暗号で挨拶
ご主人様は入退院
傷が疼く 脚を伸ばす
東京と京都との距離をSkype
情欲儀式は忍耐でkeep
沈黙は薔薇一本で饒舌
ボディレンタルの利用
イラつきの帝国は崩壊
了解。
栞
栞
読み終えたら
いつか棄てられる本
例えば
本棚の片隅で埃にまみれて
タイトルが消えてたり
例えば
字の樹海に押し込められたまま
迷子になって泣き続けていたり
ましてや
ビニールテープで
ぐるぐる巻きに固められて
あの世に運ばれたり
そんな簡単なピリオドを
待ってたわけじゃない
もの言わぬあなたの
愛蔵書(こんせき)を旅するのが好き
一番好きなフレーズに
抱かれて眠るのが幸せ
あなたが もう
そのページを開くことが
叶わなくても
大切にしている行間に
私を挟んでくれたなら
文字の森の隙間から
一番星を見つけだし
薄い私を照らし出す
光に抱かれて眠りたい
読み終えたら
いつか棄てられる本
例えば
本棚の片隅で埃にまみれて
タイトルが消えてたり
例えば
字の樹海に押し込められたまま
迷子になって泣き続けていたり
ましてや
ビニールテープで
ぐるぐる巻きに固められて
あの世に運ばれたり
そんな簡単なピリオドを
待ってたわけじゃない
もの言わぬあなたの
愛蔵書(こんせき)を旅するのが好き
一番好きなフレーズに
抱かれて眠るのが幸せ
あなたが もう
そのページを開くことが
叶わなくても
大切にしている行間に
私を挟んでくれたなら
文字の森の隙間から
一番星を見つけだし
薄い私を照らし出す
光に抱かれて眠りたい