松ちゃん

松ちゃん
松ちゃん
昔な この井戸に嵌まって
死んだ子供がおるんよ
だから
儂はな ここで眠る松ちゃんの為に
盛り塩と菊を祥月命日に
供えるんや
そういってたお祖母ちゃんも
八年前に亡くなった
私たち家族は
この井戸の水を飲み
この井戸の水で風呂を沸かす
見えない家族が
もう一人くらい
身体に棲んでいる

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サヨナラ・ドクター

サヨナラ・ドクター
HEY ドクター
どれくらいの罪に
どれくらいの涙が似合うの
HEY ドクター
どれくらい金を積めば
どれくらいの痛みを塞げるの
HEY ドクター
退屈と憂いを買って頂戴
一秒後もあの子を愛せる薬を頂戴
物足りない言葉を饒舌にして頂戴
足りない頭で考えた
I LOVE YOU
指折り数えた
デートの日は
きっと地球最後のアダムとイブね
林檎をかじったら離れられないの
忘れられたらどんなに楽
覚えていたら溺れちゃう
夜は病みつき 身体にお手つき
万有引力が二人を離さない
HEY ドクター
アンタの薬でラリっているの
際限無く想像が膨らんで
あの子の中に入りたくて
届かない涙が一粒
流れて 堕ちた
HEY ドクター
真実のスタート地点を教えて頂戴
信じ続けたゴールまで
導いて頂戴
サヨナラ ドクター
今の憂いを
花束に変える呪文は
あの子がいつも唱えてくれるから
バイバイ
ドクター
バイバイ
私の 可愛いお医者様

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真昼の月

真昼の月
春琳の間をくぐり抜けて
見上げた空に真昼の月
風がトタンを激しくノックして
私を覚醒させる
道程から見上げた
真昼の月は
昔の私
直ぐに黄砂に掻き消されて
月は陰を色濃く残したまま
仄かな痛みに震えて
静かに目を閉ざす
月陰の闇に微睡む
春琳と隙間風
すら 涙を孕んで
恋に泣く

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虚無の詩

虚無の詩
胸の空洞に私の魂の死体
命の灯火を奪われても
暗闇で泣いてはダメ
廃人はポツリとも呟けない
孵りたい
新しい春の川辺のオタマジャクシでいいから
誰かに掬われたい
救われたい
そんな幻すら
泡沫の夢
振りきれない情熱は
もう 枕の下でガビになった
アパシーの意味を今更辞書で
調べる必要性は無駄なだけ
虚無が巨夢に膨らんで
どんなに瞳から雨を
降らせても
晴れた空は大欠伸

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春の涙

春の涙
「春の涙」
桜が泣く
花びらを散らしながら
あなたの才能を狭めたと
僕は桜を恨まない
この手で掬えるのは
君の思い
この手で救えるのは
君の未来
だから
文字はいらない
伝える言葉が壊れても
君のそばにいられるなら
それはなんて
美しい春の涙

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雪の花

雪の花
「雪の花」
貴方は瞳の虚空を映して
移ろいゆく景色に
粉雪の行方を占う
花は二つ
咲いたら黙る
咲いたら声が枯れる
貴方の温かさに
救われながら
花たちは
駆け込み乗車のような恋を
乗車券も持たずに
楽しむつもりだ
全く
かまくらの温かさも知らないくせに
春に向かって 花二つ
泣きながらヒソヒソ話

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輝き

輝き
輝き
私が貴方に与えた
唯一無二の
名に恥じることなく
唯、そのままに
有終の美を
世界に知らしめる
光たらんことを
祈る
貴方は
沈まずの太陽
私は
それに魅せられた
夕暮れの向日葵
貴方は天を焦がし
私は
頭(こうべ)を垂れ
土に涙を落とす
夏の夢は覚めず
また
夏の恋も然り
輝きて
輝きて
唯 輝きて

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雪の華     (恋歌)

雪の華
雪の華
舞い降りて ティアラみたいな雪の華 薫りは君だ そっとくちづけ   (乱太郎)
 
降り積もる温もりの夜に身を委ね 絡み合う恋 ひっそりと咲く    (月夜見)
咲ききって 激しく咲いて揺れる茎 時の雫に 溺れ流れる    (乱太郎)
白き地を 紅に染めて咲く華は 吹雪を喚んで 鮮やかに舞う   (月夜見)
風誘い 白鳥が舞う月明かり 話すことも歌うこともない    (乱太郎)
風強く 髪は乱れて芯は濡れ 挿した花にも痺れはとれず     (月夜見)
雪の華 枯れることなく凛として 恋の畔で君を見つめる      (乱太郎)
雪の華 見つめ合う視線は同じ 触れることなく褪めることなく
  
                           
                             (月夜見)
※「月夜見」は、宵野 倭の昔のハンドルネームです。
あしからず・・・。

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赤く咲く声

赤く咲く声
手を伸ばせばその声に
爪を伸ばせば届きそう
捻れるように
掴まえて
破壊と再生を
装って
踊る神の足の下
無限の闇から降り立つ有限
指先のその先の月光花
たどり着ければ
聞こえるでしょう
相対の世界のうめき声
蔦の這う
古城に取り残された生け贄が
垂れ流す愛の
掠れ声
ペンを挿し込めれば
あなたとの下肢が
擦れた音を立てて
忍び込み
私の声が
赤く咲く
産声で忠誠
縛められた舌から
伸びる赤い 蛇の反逆
黎明を待たずに唇から
絞首刑で口封じ
嘘には罰を
手には刃を
私に牙を
あなたに報いを

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ソコがない

ソコがない
勘違いで恋をして
勘違で花が咲く
勘違いは居心地よくて
勘違いはiモード
勘違いが嘲笑い
勘違いが嘘をつく
勘違いに思い込み
重いゴミは
運べない
重いいゴミには灰が似合う
思い込みには秋が似合う
薄紅色の腐ったゴミは
早めに処分 廃棄処分
じゃないと泣くのは私
ソコもないのに
嘘もまことしやかに信じる自分
勘違いにはソコがない
其処が何処かもしらぬまま
浮かれる私を
笑ってるのは舞台裏

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